宮城県石巻市で3月1日、「石巻スタディツアー」が行われ、市内の学生や社会人など15人が参加した。
山形大学(山形市小白川町1)の学生が運営する団体「START Tohoku」が主催する同ツアーは今回で19回目。START Tohokuは2011年の東日本大震災後、甚大な被害を受けた石巻市の復興を考えるために設立された。今回のツアーでは「石巻市のこれからを知る」をテーマとし、参加者は市内各所を巡った後、同市の将来について意見を交わした。
門脇地区を訪れた参加者たちは、現地に住む本間栄一さんから被災した当時の様子を聞いた。その後本間さんが地震発生直後避難した日和山に登り、震災前と後の様子を実際に見比べた。本間さんは「破壊された土地が綺麗になって、震災後転出してしまった人がまた戻ってくれるといい。隣の南浜地区には2020年に復興祈念公園ができるなど復興に一歩ずつ近づいている」と話した。
その後、ことぶき町商店街で町内会理事長の今村義雄さんと「メンズセンター ダン」店主の佐藤宏さんから、まちづくりと復興に関しての話を聞き、商店街を歩いて現在の状況を見て回った。商店街を盛り上げるにはどうすればいいのか、復興に向けて5年後の石巻はどうなっているのかなどの話を聞き、参加者は同市の将来を予想した。まだ震災当時のままの箇所もあれば、防波堤工事が進むなどの進展も見られ、徐々に復興に向かっていることを肌で感じていた。佐藤さんは「地元の中学生に『石巻は終わった』と言われたことがある。でも大丈夫、俺たちが直すから大丈夫だ。落ち込んでいる場合じゃない」と力を込める。
「ピースポートセンターいしのまき」では、ツアーを通して感じたことをディスカッションした。今の商店街の状況や浜辺の様子を思い起こし、それぞれの意見を出し合い、今後の石巻市について議論した。今回の最高齢参加者の佐藤邦彦さんは「若い人の意見を聞き若返った。現地の同年代の方も諦めていない。元気をもらった」と振り返った。
団体代表の石井孝志さんは「今後もこの活動は続けたい」と話す。「学生が主体となり被災した地域について考え行動するこのツアーを通して、社会に出たあとや地元に何ができるかを考える足がかりにして欲しい。日々変化し続ける石巻の様子を今後も追っていきたい」と意欲を見せる。