山形県立荒砥高等学校(西置賜郡白鷹町荒砥)の吹奏楽部が、オンラインで取り組む練習の様子をSNSで発信している。
「山形県立荒砥高校吹奏楽部と仲間たち」による「うちで踊ろう」
同部では新型コロナウイルスの影響による休校が一時的に制限付きで解除された3月下旬を利用しオンラインでの活動を準備。再度、一斉休校となった4月7日以降は、ビデオ会議システム「Zoom」を使った朝のミーティングや、グループコミュニケーションアプリ「BAND」で演奏の動画をやり取りするなどし、生徒は自宅での練習を進めてきた。
顧問の本田礼先生は「休校中の生活ペースを整えることも目的とし、ミーティングと1日2時間の練習を生徒に提案した。消音システムを部でそろえるなどし、自宅で演奏できるように環境を整え、生徒らは自室や外などで練習。Wi-Fi環境がない家庭があるなど課題もあったができることから進めた。生徒も環境の変化によくついてきてくれたと思う。部活だけでなく、受け持っている音楽の授業でも活用を始めている」と話す。
SNSを使った活動内容の発信は2年前からスタート。毎年11月に行われる定期演奏会の集客を目的に、当時の3年生からの申し出で始まったという。本田先生は「これまでトラブルもなく順調に運用している。地元を中心に認知され、白鷹町の町長から応援メッセージをいただくこともある」と話す。
4月9日からはほぼ毎日更新。昨年の活動を月ごとに編集した動画や、各自が練習する写真を「#おうち時間」のハッシュタグとともに投稿しているほか、インスタグラムのストーリーにはオンラインミーティングの様子もアップ。卒業生の協力の下、星野源さんの楽曲「うちで踊ろう」をオンラインで演奏した動画も制作しユーチューブに投稿している。
部長で3年生の佐藤彩香さんは「直接会って一緒に活動出来る時間が少ないからこそ、多くの方々に見ていただいて、元気を与えられたらいいなと思った。初めての挑戦で、試行錯誤しながら進めてきた」と話す。
同校では通常の授業が5月25日から始まっており、部活動は6月1日から段階的に再開する予定となっている。
本田先生は「平常時は会議などでじっくりと指導する機会がなかなかもてなかったが、オンラインでの練習では生徒一人一人を毎日指導できた。限られた環境でも生徒は上達してくれていることに驚きもあった。今後はリアルとオンラインを組み合わせながら、合理的な活動スタイルの定着を図りたい」と話す。
佐藤さんは「先日、吹奏楽コンクールの中止が発表されたときはとてもショックだったが、同時に目指すものがコンクールだけではないということにも気が付いた。先が見えず不安もあるが、多くの方々に支えてもらっていることが原動力になっている。感謝を忘れずに部員全員で活動に精進していきたい」と意欲を見せる。