赤湯温泉の老舗旅館「いきかえりの宿 瀧波(たきなみ)」(南陽市赤湯3005)が8月1日、リノベーションを行い、「山形座 瀧波」としてプレオープンした。
昨年創業100年を迎えた同旅館。断熱、防音、導線の問題や、団体型から個人型旅行へ移行する時代の流れを組み、大規模なリノベーションを行った。
ブランドディレクターの須藤修さんは「山形の魅力を凝縮したショールームのような宿を目指した」と話す。35室あった客室を19室にまで減らす大胆な改修を行った同館。「部屋は減ったが従業員の数は以前と変わらない。一人のお客さまに対する接客時間を増やし、昔からの山形の色や食文化を伝える時間に費やしたい」とも。
客室は蔵座敷を改装した「KURA」、窓から桜を眺めることができる「SAKURA」、山形の工芸品やインテリアでコーディネートする「YAMAGATA」の3タイプに分かれる。「KURA」内の「グランスイート」は、広さ約100平米の蔵座敷をぜいたくに使った同館で一番グレードの高い客室。
赤湯温泉をもっと自由に楽しんでもらいたいとの思いから、大浴場はコンパクトに抑え、各客室に源泉掛け流しの露天風呂を完備した。新たに「湯守(ゆもり)」というスタッフの役職を設け、日々変わる環境に気を配り、温度管理などには徹底的にこだわっているという。
「1/365」と名付けたレストランは、料理長が毎日山に入り採って来た、その日その日の食材を提供することをコンセプトに、出来上がったばかりの料理を時間のロスなく楽しめるよう、広々としたオープンキッチンのカウンター席がメインになっている。
総支配人の須藤宏介さんは「インターネットが生活の一部となり、自宅にいながらさまざまな情報が簡単に手に入る現代で、瀧波に来ないと体感できない空間、食、温泉を感じてもらいたい。山形の魅力がお客さまにより伝わりやすくなるように、モノ、コト、ヒトを徹底して見直した。山形ならではのぜいたくが味わえると思う」と胸を張る。
宿泊料金は2万5,000円~、グランスイートは3万4,000円~。プレオープン中は宿泊客を受け入れながら、東北芸術工科大学と連携した館内の調度品や、クラフトショップなどの施設を整え、今年の秋から冬にかけてのグランドオープンを目指している。