漬物や総菜を製造する三奥屋(高畠町)が開発した漬物スイーツ「たくあんチョコレート夢」が、バレンタインを前に注目を集めている。
同社は60年以上の歴史がある漬物工場で、山形土産の定番品として親しまれてきた「晩菊(ばんぎく)」や「青菜漬(せいさいづけ)」など、長い時間漬け込む「古漬け(ふるづけ)」の製造を得意としてきた。しかし近年、若者を中心とした「漬物離れ」が深刻化し、若者向けの新たな商品開発に乗り出したという。
「たくあんチョコレート」は伝統的な和菓子「氷室沢庵(ひむろたくあん)」をヒントにしたもので、レモン汁を混ぜた砂糖水に大根を浸し、取り出して乾燥させるという作業を約1カ月間何度も繰り返す。完全に乾燥させた砂糖漬けにチョコレートをコーティングし完成となる。「ほぼ全ての工程が手作業で、とても手間暇がかかる」と、営業部統括マネジャーの前山一美さん。
構想から約3年の歳月をかけて商品化した同商品は、昨年2月に行われた「第13回山形県漬物展示品評会」で農林水産大臣賞を受賞。その後徐々に問い合わせが増え、バレンタイン直前の現在、全国から注文が舞い込み生産が追いつかない状態だという。
商品名の「夢」は、江戸時代初期、上山市の春雨庵(はるさめあん)で暮らし地域に「たくあん漬け」を伝承した「沢庵禅師(たくあんぜんじ)」に思いをはせ、禅師がこよなく愛した言葉「夢」を採用したもの。パッケージの文字は同社・近清剛社長の直筆によるもの。
「これからの時代、もっと若い人(女性やお子さま)にも漬物に慣れ親しんでもらえる商品を開発していかなくてはと思い、たくあんチョコレートを開発した」と前山さん。「今後も第2弾、第3弾の『漬物スイーツ』を開発していきたい」とも。
三奥屋各店や山形県内の物産館、ネットショップなどで取り扱うほか、結婚式の引き出物などの展開も行っているという。