スキージャンプ高梨沙羅が発起人となり、雪山の自然環境を守りスノースポーツを次世代に残していくために2023年5月に立ち上げたJUMP for The Earth PROJECTの活動第七弾として「蔵王・樹氷保護活動 第2弾 オオシラビソ植樹活動」を2025年8月30日(土)、蔵王ロープウェイ(山麓駅~地蔵山頂駅付近)にて実施しました。当日は高梨沙羅をはじめ、樹氷復活サポーターの皆さん、村山産業高等学校の生徒さんなど約45名が参加。稚樹の探索・採取・移植を行い、蔵王のシンボルである「樹氷」の形成に不可欠なオオシラビソ林の再生に取り組みました。


蔵王山はウィンタースポーツの聖地であり、2012年のW杯で自身初優勝を果たした高梨沙羅にとって、競技人生に大きな意味を持つ特別な場所です。この蔵王でこの先もスキージャンプを飛ぶために。次世代の選手たちが競技を続ける場所を維持するために。多くの方々に蔵王の魅力を体感してもらいながら、蔵王のシンボルである樹氷を守る取り組みとして、オオシラビソの稚樹を探索・採取・移植する植樹活動を行いました。
この植樹活動により、蔵王の樹氷を守り、地域の自然や観光資源を未来へつなぐことができます。また、スキージャンプ選手として雪不足や環境の変化を肌で感じてきた高梨沙羅が、自身のリアルな経験と発信力を活かして、気候変動を「自分ごと」として考えるきっかけを届ける試みでもあります。さらに、次世代を担う子どもたちに自然を守る意識を育むとともに、稚樹の移植という具体的な保全活動を通じて、自らの手で未来を育む体験を持つことを目指しています。
当日は、高梨沙羅と村山産業高等学校の生徒や樹氷復活サポーターなど約45名が参加しました。開会式では高校生からオオシラビソの役割や樹氷形成との関わりについて説明がありました。その後、参加者はユートピアゲレンデ周辺で稚樹の探索・採取を行い、蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅付近にて15本の植樹を実施しました。
高梨沙羅は「初めて植樹活動に参加し、想像以上に重労働であることを実感しました。稚樹の根を傷つけないように慎重にスコップを入れる作業や、地盤が固くなかなか掘り進められないこともありましたが、悪天候の中みんなで協力して最後までやり遂げられたことがよかったです。」と語り、参加者たちからも「稚樹を刈り取るのが難しかった」「山頂付近の木々が枯れていることに驚いた」といった声が寄せられました。
植樹の最後には、参加者全員で横断幕を掲げて記念撮影を行い、地域の方々とともに、蔵王の樹氷を未来につなぐ決意を新たにしました。
JUMP for The Earth PROJECT「蔵王・樹氷保護活動 第2弾 オオシラビソ植樹活動」概要
■日時 :2025年8月30日(土) 9:00-12:30
■会場 :蔵王ロープウェイ(山麓駅~地蔵山頂駅付近)※国定公園エリア
■内容 :オオシラビソの稚樹の探索・採取・移植の実施
■参加者 :村山産業高等学校の生徒や樹氷復活サポーター・JFTE協賛企業など、合計 約45名
■主催 :JUMP for The Earth PROJECT・樹氷復活県民会議(山形県)
■協力 :林野庁 東北森林管理局山形森林管理署
■協賛 :株式会社クラレ/アルコ株式会社/ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社/アリオンテック株式会社/株式会社ミマキエンジニアリング




スキージャンプは雪がなければ成り立たない競技であり、自然の中で競技をさせてもらっています。山形蔵王は私にとってゆかりのある大切な場所です。その蔵王の樹氷が深刻な課題に直面しており、前回の蔵王山クリーン作戦で山岳ガイドの方々や樹氷マイスターのお話を伺う中で、“何とか守らなければならない”という思いを強く感じました。
本日の活動では、アオモリトドマツの稚樹を探索・採取し、山頂エリアへ移植する植樹活動を行いました。地元の村山産業高校の皆さんからご指導をいただき、悪天候の中でしたが、参加者全員で協力し合いながらやり遂げられたことをとても嬉しく思います。次世代の子どもたちが樹氷を見て感動し、自然から学べる環境を守ることは、私自身の競技(スキージャンプ)の基盤にもつながります。未来を担う子どもたちのために、このような活動を今後も継続していきたいと考えています。

高梨 沙羅 ~Takanashi Sara~小学2年生からジャンプを始め、2011年2月のコンチネンタルカップにて国際スキー連盟公認国際ジャンプ大会での女子選手史上最年少優勝を果たす。その後、FISワールドカップにおける4度の総合優勝などを経て、18年平昌冬季五輪では銅メダルを獲得。FISワールドカップでは男女を通じて歴代最多の63勝、また女子歴代最多116回目の表彰台に立つ偉業を成し遂げた。
気候変動がこのまま進むと、温暖化を原因とした雪不足により、スキージャンプを含めウィンタースポーツを楽しめる場所は将来的にはごくわずかになってしまう可能性があります。スキージャンプやウインタースポーツの楽しさを多くの人に知ってもらい、次世代に引き継いでいくために、日本のスキージャンプ界を牽引してきた高梨沙羅を中心として、 JUMP for The Earth PROJECTが立ち上がりました。
JUMP for The Earth PROJECTでは、「自然とふれあう」「自然からまなぶ」「自然をまもる」を行動指針として、様々な活動を展開してまいります。例えば、気候変動の現在地について学ぶ動画コンテンツの発信や、雪山を守るアクション/イベント開催なども実施していく予定です。
公式サイト:
https://jump-for-the-earth.com