「山形国際ドキュメンタリー映画祭2019」(YIDFF)の表彰式が10月16日、山形市中央公民館(山形市七日町1)で行われ、受賞作品が発表された。
記者会見で喜びを語る「十字架」のテレサ・アレドンド監督(左)とカルロス・バスケス・メンデス監督
同映画祭は、山形市制施行100周年記念事業として1989(平成元)年にスタートし、隔年開催され今回で16回目。公募部門は、世界の最新長編ドキュメンタリー映画を対象とした「インターナショナル・コンペティション」と、アジアの若い才能を発掘することを目的とした「アジア千波万波」の2つがある。
今年は2部門合わせて、過去最多となる130の国と地域から2371作品の応募があり、その中から36作品が上映された。YIDFFは2018(平成30)年、米国アカデミー賞の公認映画祭に指定され、各部門の大賞受賞作品は次年度の米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門のエントリー資格が無条件で与えられる。
インターナショナル・コンペティション部門の大賞「ロバート&フランシス・フラハティ賞」には、王兵(ワン・ビン)監督の「死霊魂」が輝いた。1950年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で粛正され、再教育収容所へ送られながらも生き抜いた人々のインタビューで構成された8時間を超える大作。
王兵監督は、2003(平成15)年と2007(平成19)年にも選ばれており3回目の受賞となる。今回は市民投票で選考される「市民賞」にも選ばれダブル受賞となった。新作の撮影中で表彰式は欠席したが受賞を受け、「映画祭が30周年を迎えうれしい。ますます発展していくことを願っている」とビデオメッセージを寄せた。
その他の主な受賞作品は、小川紳介賞(アジア千波万波部門・大賞)=ガッサーン・ハルワーニ監督「消された存在、__立ち上る不在」、山形市長賞(インターナショナル・コンペティション部門・最優秀賞)=テレサ・アレドンド監督、カルロス・バスケス・メンデス監督「十字架」。
YIDFFは10日に開幕し、招待作品などを含め期間中に計176本を上映。16日までに延べ1万9000人が訪れた。17日に受賞作品の上映が行われ閉幕する。