東北芸術工科大学(山形市上桜田3)で2月10日、昨年全国的に話題となった「書き時計」の新作「time castle(タイムキャッスル)」の制作発表会が行われた。
3分タイマーの機能を持つ同作は、自作の歯車を複雑に組み合わせた仕掛けで1分ごとに「0」から「3」までの数字を磁石ボードに書いていく。数字の数だけベルが鳴り分数を知らせ、3分に達すると自動停止する仕組み。
作者は同大の卒業生で、昨年の卒業制作展で発表した「書き時計」が、インターネットを中心に大きな話題となった鈴木完吾さん。「前回の制作後、動作の不安定性を解消したいという気持ちから今作の開発に至った」と話す。
約400のパーツからなる複雑な構造により、鈴木さんにしかできない微妙な操作が必要だった前作に比べ、4分の1のパーツで製作した今作は、誰でも扱えるように構造を見直し動作安定性も高めたという。大きさは前作の約半分、高さ32センチ、幅30センチ、奥行き22センチのコンパクトサイズに抑えた。
文字盤には前作同様、磁石式のボードを採用した。前作はボードを磁石の板に近づけて消していたが、今作ではロボットに使われる歩行機構を応用し、磁石の棒をこすりつける動きで文字を消すことに成功したという。
現在、関東で社会人として働く鈴木さんは、「今作を一般公開する予定はないが、これからも時間を見つけては新たなカラクリ作品の制作に取り組んでいきたい」と次回作への意欲を見せる。