山形県寒河江市内の薬局で10月25日、介護事業所などを運営する「多田」(寒河江市大字日和田)が「ショッピングリハビリ」のデモンストレーションを行った。
体と頭を使う買い物で、高齢者の運動能力の向上や認知症予防を目指す「ショッピングリハビリ」。同企画の発起人で、理学療法士の大下健作さんは、昨年からショッピングリハビリについての勉強を本格的に始め、同取組みを多くの事業所に広めたいとの思いから、今回初めて介護事業所や関係者らを招き、デモンストレーションを行った。
この日は、3人のデイサービス利用者がリハビリ専用カート「楽々カート」を押し、店内を散策する様子を参加者らが見学。時には店員に商品の場所を訪ねながら、付き添いの介護良職員と共に会計を済ませるまでの過程を真剣な眼差しで見つめていた。
付き添いを行った「デイサービス花」管理者の服部理奈さんは「施設のリハビリでは5分しか歩けない方が、今日は自ら進んで40分も歩く事ができた。『買い物』と聞くと外に出掛けてみようという気持ちになるようだ」と話す。
リハビリを体験したデイサービス利用者は「めったに自分の意志で買い物ができないので楽しい。良い運動になるし、心が豊かになる」と笑顔を見せていた。
同日、「楽々カート」などのサービスを展開する福祉関連企業「光プロジェクト」の理学療法士、川内雅和さんなどを招いた講習会も行い、参加した寒河江市介護関連事業所連絡会「スマイルネット」の会員、寒河江市高齢福祉課の職員らは同リハビリへの理解を深めていた。
大下さんは「買い物が終わった後の利用者は、達成感に満ちた表情になる。この表情は施設内のリハビリではなかなか引き出せない。ショッピングリハビリの取り組みを通して元気な高齢者の方が増えてくれれば」と期待を寄せる。