干支(えと)のわら細工を作り続けて50年の石川たかさんの工房(河北町)で現在、来年の干支「未(ひつじ)」の製作が最盛期を迎えている。
今年で満88歳になる石川さんは、年齢を感じさせない器用な手さばきで干支の動物の筋肉や表情、細やかな体つきを稲わらと針金やたこ糸などの少しの道具だけで作り上げていく。未のわら細工は、石川さんが作る十二支の中でも特に人気が高く、くしで丁寧に整えたボリューム感のある毛並みが特徴。
十二支のわら細工はもともと石川さんの夫、清治さんが独自の技法で編み出したもの。30年以上、夫婦二人三脚で製作を続けてきた。1997年に清治さんが死後は、石川さんがこの技を受け継ぎ、現在はたった一人で干支の動物作りに取り組んでいる。
「主人が亡くなったとき、わら細工作りはもう辞めようと思った。でも、作り続けてほしいというお客さまからの声があったから今でもこうして続けている」と石川さん。「毎日退屈しなくていい。小さいころはクラスで一番体が弱かったが、今は同級生の中でも一番元気。わら細工作りが元気の秘訣(ひけつ)になっているかもしれない」と笑顔で話す。
工房には毎年、全国各地から注文が舞い込む。今年も忙しい季節を迎え、石川さんは今日も黙々と作業を続けている。