山形市に本部を置き、イラクやシリアで難民支援などの活動をしている認定NPO法人「IVY」(山形市荒楯町1)が10月、イラク北部のクルド自治区アルビル県郊外に公立小学校を開校させる。東京都のNPO法人からの助成を受け建設計画を進行中だが、建設費が足りないため義援金を募っている。
昨年6月、イスラム国の攻撃によりイラク第2の都市モスルが陥落。310万人以上の避難民が国内に発生し、アルビル県にも約28万人が避難している。その中には3万人を超える子どもたちも含まれており、避難当初はきちんとした教育を受けられなかった。そこでアルビル県では74校の補習校が開かれ、避難中の子どもたちに学習の機会を与えた。同団体は2013年からイラクやシリアの避難民のための教育支援を続けており、アルビル県においても今年の4月に補習校を開校。約150人を受け入れ、学習支援を継続してきた。
しかし、補習校は民家やアパートを改造しただけの簡素な造りで、子どもたちが狭い教室にすし詰め状態で勉強している。何より、補習校では公立校と違って小学校の単位が認定されないため、多くの保護者が公立校の設立をイラク教育省に求めた。もともと同県郊外の新興住宅地に公立校建設予定地が確保されていたため、同団体がその地に公立校の設立を決意。イラク教育省からの認可が下り、今年10月の開校が決定した。
今回開校する公立小学校は、敷地面積が約6000平方メートル。10室の教室を構え、300人の児童を受け入れる。建設は地元の建設会社が請け負い、開校後の管理、運営はイラク教育省が担う。総建設費は1,300万円。現在、建設費用が約150万円足りないため、同団体では義援金を募っている。
同団体事務局長の安達三千代さんは「戦争に巻き込まれて一番大変な思いをしているのは未来ある子どもたち。学校に行けていない子どもたちの環境を少しでも和らげてあげられればという思いで活動してきた。一日一日が貴重な彼らの生活のため、ぜひ多くの方に協力していただければ」と呼び掛ける。