文翔館(山形市旅篭町3)で3月11日、東日本大震災の追悼と復興を祈る「3.11キャンドルナイト 追悼・復興への祈り」が開催された。主催は県や避難者支援に携わる団体などでつくる「東日本大震災追悼・復興祈念事業(山形会場)」実行委員会。
震災の翌年から始まり、今回で4回目を数える同イベント。今年は冬に逆戻りしたかのような悪天候の中、会場には約400人の来場者が訪れた。
降りしきる雪の中、予定を変更し議場ホール内で執り行われた開会セレモニーで、吉村美栄子山形県知事は「震災の記憶は絶対に風化させてはならない。震災の記憶を生かし前に進んでいかなくては。エネルギー問題についても根本から考えなければならない」と、被災者や県民へのメッセージと共に「卒原発」の話題にも触れた。
福島県から家族で山形市へ避難している安達和叶さんは「皆さんの今一番大切にしているものは何ですか」と会場に問い掛け、「私が今一番大切にしているものは、命。安全な場所で自分で道を選び、歩んでいくこと。原発事故により重い決断があった人たちがいることを忘れないで」と切実な思いを語った。
セレモニーの最後には、山形ベルの会・リングローズクワイアによるハンドベルの演奏が行われ、「ふるさと」や「花は咲く」など、復興の祈りを込めた楽曲を披露。演奏後は来場者全員で黙とうを行い、被災地への祈りをささげた。
キャンドルリンクネットワーク協力のもと行われた「双子キャンドル作り」のワークショップでは、2本作った「蜜ろうキャンドル」のうちの1本を、復興のメッセージを書いたガラス灯籠に入れ火をともし、大きな「3.11」の文字とそれを囲むハートのリボンを作った。残ったもう一方のキャンドルは、家庭に持ち帰り、あらためて家族で被災地への祈りをささげてもらえるようにと、参加者へ配られた。
震災から5年目へと突入した同日、「あの日」の記憶を風化させないため、復興へ向けもう一度思いを一つにするためのキャンドルナイトとなった。