都会と山形の農家を結ぶ新プロジェクト始動  「蕪(かぶ)券」で農家のオーナーに

山形市内の農家、佐々木康裕さんが育てた野菜

山形市内の農家、佐々木康裕さんが育てた野菜

  • 0

  •  

 山形市内の農家が2月、都会に住む顧客をメーンターゲットにした「FARM OWNER'S(ファームオーナーズ)」プロジェクトを立ち上げた。

プロジェクト代表の佐々木康裕さん

[広告]

  同プロジェクトを進めるのは山形市内で1人で農業を営む佐々木康裕さん。佐々木さんは、一般的なスーパーでは手に入らない「在来種」や「固定種」と呼ばれる希少な野菜を無農薬で栽培している。

  これらの野菜はその土地で長年伝承されてきた品種で、育てた野菜から種を取り、何代にも渡り受け継がれてきたものだという。佐々木さんは「形やサイズがふぞろいなことから市場にはほとんど出回らないが、味は濃く、エグみもないのでとてもおいしい」と話す。

 都会に住む顧客からの「無農薬や在来種の野菜を購入したいのに、気軽に手に入れることができない」といった声を受け、佐々木さんは「在来種」や「固定種」を気軽に手に入れることのできるシステム作りを目指した。

 同プロジェクトは、顧客が「蕪(かぶ)券」と呼ばれる会員証をウェブサイトから購入し、佐々木さんの農家の「オーナー」になる。オーナーになった顧客には、産地直送の野菜が定期的に届けられるというもの。顧客にとっては無農薬で安心の野菜が気軽に手に入り、農家にとっては売り先の心配をせず農業に取り組めるなどの利点があるという。

 オーナーは、直接農家に出向き、種まきや収穫を体験できるほか、年に2回都心で開催される「蕪主総会」と呼ばれるオーナーと農家の交流会に参加できる。「売られている野菜を買う」から、「食べたい野菜を農家に育ててもらう」という新しい農業の形を目指したという。

 現在は都心を中心に、遠くは九州からも「蕪主」の登録があるという。佐々木さんは「このプロジェクトをきっかけに、消費者が購入する野菜の選択肢と、農家の売り方の選択肢が増えれば」と期待を込める。

 「蕪券」の購入は同プロジェクトのウェブサイト、またはクラウドファンディングサイト「Makuake」より。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース