「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」が10月8日、開幕した。
山形市で2年に一度開催され、世界3大ドキュメンタリー映画祭の一つにも数えられる同祭。開幕セレモニーには、市民や報道陣のほか、世界各国の映画関係者、上映作品の監督など約600人が集まった。
セレモニー後には、今年4月に106歳で亡くなったポルトガルの映画監督マノエル・ド・オリヴェイラ氏が、自分の死後に発表するように言いつけ封印していた「訪問、あるいは記憶、そして告白」を上映。カンヌ国際映画祭でも話題となり、アジア圏初公開となる貴重な作品の上映ということもあり、会場は立ち見が出るほどの超満員となった。
同映画祭開幕までには、映画批評家、大学教授、一般人も含めた約10人の審査員が半年をかけて選考を行い、1800本を超える作品を1作品あたり2名の審査員が「早送り禁止」で目を通すという作業がある。海外の映画関係者から驚かれることが多いというこの手間のかかる選考方法について、事務局次長の日下部克喜さんは「山形ではこういう姿勢を大切にしている。作った側への敬意や精神的なものを重視している」と話す。
1週間の映画祭の間には市内10会場で160本の作品が上映される。「フェイクドキュメンタリー」と呼ばれるドキュメンタリー風フィクション作品や、今回最長の700分作品(5部に分けて上映)など、個性豊かな作品がそろう。
日下部さんは「ゴリゴリのドキュメンタリーから、アートインスタレーションのような作品まで『何でもアリ』なところが魅力。ドキュメンタリー映画といえば堅い、長い、つまらないというイメージを持たれることも少なくないが、自分の嗅覚を頼りに一度飛び込んでみてほしい」と来場を呼び掛ける。
前売り券1回券1,100円~。前売り共通鑑賞券(フリーパス)11,000円。今月15日まで。