山形市の霞城セントラル(山形市城南町1)で3月26日、「アジアプレス玉本英子さん緊急報告会&IVYイラク報告会」が開催された。
「アジアプレス・インターナショナル」所属のジャーナリスト・玉本英子さんを招いて行われた同報告会。山形市に本拠地を置き、イラクやシリアで難民支援などの活動をしている認定NPO法人「IVY」が、イラクの都市アルビルで活動していた時に玉本さんと知り合い、今回の報告会を企画した。「最新取材映像で見るシリア、イラク北部はいま」というテーマの下、約40人の参加者が現地の生の声を聞いた。
イスラム国による異教徒への迫害や石打刑など、現地で今起こっている出来事を玉本さんが実際に撮った映像で生々しく伝えた。特にヤジディ教という少数宗派に対する迫害や、女性に対する性的暴力や強制結婚については涙をにじませながら語り、現実に起こっている事実だと熱く訴えていた。トルコ国境近くのクルド地区での戦闘の映像では防弾チョッキを着て取材する様子も映り、常に危険と隣り合わせで活動していることを、参加者はあらためて実感していた。
現地での取材中は一般家庭に世話になることも多かったという。「戦闘の中でも、人々が普通の生活を過ごす様子が印象的だった」と語る。そんな一般市民の声を聞きたくても聞けないような場面もたくさんあり、あまりにも危険で行くことのできない土地のことは住民に電話でインタビューした。「誰も助けてくれない」という悲痛な叫びを常に耳にし、「戦争に巻き込まれている一般市民の本当の姿を伝えたかった」と振り返る。
「決して人ごとではない。日本とは距離があるが、自分にできることは真実を皆さんに伝えること。今後も多くのジャーナリストが取材するだろう。その時は関心を持って、何ができるかを考えてほしい」と話す。「戦争は人間が起こしたことだが、人間が解決できると信じている。今後も継続して取材していきたい」と話した。
また、IVYによるシリア難民児童の補習校開校についての報告も行われた。内戦が続くシリアからイラクへ避難した難民の中には児童もたくさん含まれ、学校に通えない児童がほとんどだった。そこでIVYは補習校を設立し、のちに公立小学校になった。現地で活動したIVY事務局長の安達三千代さんは「いつまで通わせられるのかという不安もあるが、1年でいいから通わせてあげたい」と語る。「今後はシリアからの難民児童だけでなく、イラクの子どもたちも学校に通わせてあげられれば」と語った。
参加者の落合瞳さんは「シリアについて知りたくて参加した。生の声が聞けて良かった。人ごとでなく身近に感じ、自分に何ができるかを考えたいと思った」と語った。