山形市のデイサービス施設「ほほえみデイ七日町」(山形市七日町2)が開所から1年を振り返った。
2013年11月にオープンした同施設、今では1日平均10人が利用し、徐々に地域の中で認知されてきた。開所半年ほどは利用者が一日2人ほどの状態が続き、もどかしい日々が続いたという。
同施設を運営する合同会社「ほほえみ」代表の西塚重己さんは「最初はやっぱり苦しかったが、街中に住む高齢者が介護支援を受けられる環境をなんとか整えたかった」と振り返る。七日町で同事業を始めた背景には、西塚さんの「中心市街地への思い」があったという。
かつて警察官だったという西塚さんは「最初の赴任地だった七日町交番で市街地の風景が、街中でのデイサービスの原点になっている」と話す。交番勤務当時、七日町商店街は人通りも今より多かったといい、毎日多くの買い物客でにぎわう山形一の華やかな街だったという。長年勤め上げた警察官の仕事を退職した西塚さんは、高齢者介護支援事業者の道を選んだ。
七日町が元気だった頃を知っているお年寄りが気軽に街に出て来られるように、活気ある街中を少しでも取り戻すためにと七日町でのデイサービス事業に取り組む決意をしたという。「現在の七日町は昔に比べてすっかり様変わりし、人も減った。今でも若者の街というイメージはあるが、当時の盛り上がりを知っている者としては寂しさがつのる」と肩を落とす。
一年を通じてさまざまなイベントを行っている同施設は、中心市街地の立地条件を生かして、周辺の文化施設への散歩やデパートへのショッピング、花笠まつりへの参加など活発な支援策に取り組んでいる。「当施設は大きな窓から室内が見え、閉塞(へいそく)感のないオープンな雰囲気も自慢の一つ」と西塚さん。「街中と施設内が窓一枚でつながっている。お年寄りが街に出て元気な姿を見せることで、街の元気を取り戻したい。今後は地域との交流の場としても活用できれば」と意欲を見せる。