山形県河北町の石川たかさん宅の工房で現在、来年のえと「酉(とり)」のわら細工作りが最盛期を迎えている。
石川さんは90歳。今年も全国からの注文を受け、自宅の工房で一人黙々と製作に励んでいる。現在までに10体ほどの注文が入っており、製作は年明けも続くという。
尾羽をピンと立て、小さく口を開けた酉(とり)の置き物は、19年前に亡くなった夫の清治さんが考案した。わらだけではなく手縫いの赤い布を使い「とさか」を表現している。
清治さんが亡くなった後も、変わらぬ技法でえと作りを続ける石川さん。傍らには、長年大事に使い続けている手書きの設計図が置いてある。「毎年、お父さんが考えた作り方で黙々と作るだけ」と石川さん。「作っていると退屈することがないので、元気の元になっている」と笑顔を見せる。