山形市に本社を置く自動車販売店「カーサービス山形」（山形市上山家町字下宿）に今年4月、市内唯一のスリランカ人社員が入社した。

整備士の仲間とニルシャンさん

　入社したのは27歳のスリランカ人、アベピティヤゲ・ニルシャン・ウダヤンガさん。3年前に群馬県に住む友人に誘われ来日し、日本語を勉強。派遣会社を通し同社を知り、今年4月に入社した。現在は先輩社員の指導の下、車検、洗車、タイヤ交換などの整備の仕事を学んでいる。

　同社では外国人従業員を採用するのは初めてで、採用の理由について次長の加藤文雄さんは「整備士になる人が少なくなっているため、今後は女性や外国の方にも広く目を向けなくてはと考えていた。ニルシャンは面談したときに、前向きで車好きだったのが決め手」と話す。入社してからは社内でも「真面目で明るく、分からないことはすぐに聞いてくる」と評判だ。

　そんなニルシャンさんの夢は「母国で車整備の会社を作ること」。ニルシャンさんによると拡大し続けているスリランカの自動車市場の約80パーセントは日本車が占めており、自動車販売の会社は多いが、整備の会社は少ない。そのため日本の整備技術を学び、母国で生かしたいのだという。

　同社の小川大輔社長は「ニルシャンが入ったことで、社内が活性化したと感じる。文化の違う人に教えることでこちらも勉強になることが多い」と話し、「将来ニルシャンが母国で作った会社と提携ができれば」と期待を寄せる。

　県内には約6千人の外国人が居住しているが、まだまだ街を歩いていると珍しそうな目で見られることが多いというニルシャンさん。「気軽に声を掛けてもらえれば」と笑顔で話す。